石を売る

無能オヤジの無能ブログです

ブラック企業に勤めていた頃の思い出(4)

 わたしが会社で働き始めたとき、正社員(従業員)は男性2名、女性1名でした。「あれ? 募集資料には5名と書いていたけど・・・」と思いましたが、後で確認したら、わたしが働き始めたときには他の社員はすでに退職していました。

  しかし勤めだしてすぐに分かったのですが、その会社では人数をカウントしても意味がありませんでした。なぜなら、社員がすぐ辞めてコロコロ人数が変るからです。

 会社には中間管理職が存在せず―以前はいたのかもしれませんがわたしが就職したときはいませんでした―社長が直接業務の指示を出していたのですが、社長はだいたい週3日程度、つまり隔日程度しか出社しません。

  それで出社したときに会議や打ち合わせするのですが、これはほぼ社長の怒号と難詰だけに終始します。短くて半日、長いと一日中朝から晩まで社長から怒号と罵声が浴びせられます。そのさい机や壁をバンバン叩くわ、資料やホワイトボードのマーカーを投げまくるわ―ただし直接当たらないように注意して投げてはいましたが―、声だけで身体的な動作を伴って怒りまくりました。

 社員が全員そろって罵倒される場合も一人ずつ難詰される場合もありますが、いずれにしても社長はだいたい一日中怒鳴っています。

 わたしのように軟弱な人間はそもそも一日中怒鳴る体力もエネルギーもないのですが、社長は身長は180cm近くあり恰幅も良く、見るからにパワフルで威圧感も相当あります。ある女性社員は自分自身は一度も怒鳴られたことがないにもかかわらず恐怖のあまり3日でやめました。

  わたしが就職したとき、わたし以外の男性社員は20代後半と30代前半の若者でしたが、その扱いはひどいものでした。

 彼らはひとえに社長から怒鳴られないことだけを目的に仕事をしていたようなものでした。良い仕事をしようとかクライアントから評価されようとか業績を上げようとかスキルを向上させようとか、およそ普通の社員が働く目的に掲げるようなことは一切考える余裕がなく、ともかく恐怖によってマインドコントロールされているような状態でした。

 

 まずこの一点だけですでに典型的なブラック企業の条件を満たしています。ただ、怒声も含めた「身体的パワー」で恫喝しまくるだけであれば、ブラック企業というよりは「舎弟企業」ないし「アングラ企業」に近いと思うのですが、なかなかどうして、巧妙な仕掛けもいろいろ用意されていたのです。